盲導犬について

盲導犬の育成

盲導犬の育成は、盲導犬にとって必要な性格、適応力、訓練の性能を充分に持っていて、なおかつ遺伝的な病気を持っていない優れた親犬を選ぶことから始まります。

・誕生

ラブラドールやゴールデンといった犬種は多産で、1度に10頭前後の子犬を生むこともめずらしくありません。生まれた子犬達は約50日間、母犬と兄弟と多くの時間を過ごします。犬にはお互いの力を認識し、無駄な争いを防ぐためのさまざまなルールがありますが、母親からミルクをもらい、排泄の世話を受け、子犬同士でじゃれあい、喧嘩したりしながら「犬社会のルール」を少しずつ学んでいきます。
同時に、時々人間が声をかけたりだっこしたりして、「人間は安心できる存在」ということも認識できるようにも気を配ります。成長とともに外部環境にも触れさせ、生活音を聞かせたりしながら、徐々に人間社会にスムーズにとけ込めるように配慮します。

・パピー・ウォーキング

子犬達は生後50日前後から約1年間里親ボランティア(パピー・ウォーカー)の家庭に預けます。トイレトレーニングから始まり、人間社会で生活するための基本的なしつけを受け、家族から愛情を注がれます。
子犬は散歩を通して外部環境に徐々に慣れます。犬や猫、鳥といった動物に出会い、大勢で走ってくる子どもに出会い、電車の音に驚かされ、車に乗って旅行に出かけたり、さまざまな経験をします。そしてその時々に落ち着いて行動できるようにしつけを受けます。人間の言うことを理解し、正しい行動をすれば充分に誉めてもらえます。
こうして犬達は経験を通して「人間社会のルール」を学び、人に対する信頼感が育てられます。

・訓練前評価

生後1年前後で犬達は訓練所に戻ってきますが、まず盲導犬の候補犬としての適性評価を行います。適性評価は、どんな環境でも落ち着いた行動が取れるか、大きな音などに過剰に反応しないか、他の犬や猫、鳥などに出会った時に適切な行動がとれるかなどの性格的な部分を約1週間かけて行い、健康体であるかどうかのチェックも行います。
ここまでの過程で生まれた子犬の約40%が盲導犬としては「不適格」になります。

・候補犬訓練

適性と判断された候補犬は、まっすぐにゆっくり歩くことの訓練を受け、交差点などの角や歩道の段差で止まることなどを徐々に教えます。訓練の地域は静かであまり障害物などがない住宅地から、徐々に人通りがあり、障害物の多い繁華な地域へ移り、公共交通機関の利用やエスカレーターの利用などさまざまな環境で、繰り返し盲導犬としての適切な行動が取れるように約6~8ヶ月間にわたり訓練を行います。
一般の理解では、盲導犬の訓練は訓練所内だけで行われているように思われているかもしれませんが、盲導犬の訓練は町中で行うことが多く、訓練所の中で行うのは基本的な服従訓練や障害物回避の練習程度です。

・共同訓練

候補犬としての訓練が終了する段階に近づくと、その候補犬が持っている性格的要素、体格などと、盲導犬希望者が持っているニーズを照らし合わせ、それに応えられるようにマッチングを行います。
ここから実際に視覚障害の方との歩行をする共同訓練を行いますが、初めて盲導犬を持つ方は、訓練所に宿泊し候補犬との共同生活を約4週間送ります(2頭目以降の方は約2週間)。この間に犬と一緒に単独で歩くためのさまざまな知識や技術を習得してもらいますが、同時に排便、グルーミング、食事、健康管理などの基本的に犬と生活を共にするために必要な事項についてもトレーニングを行います。
多くの方は「犬が好き」であっても、室内で犬と一緒に生活をした経験を持ってはいません。盲導犬と言うと「歩く」というイメージが強いので訓練は歩くことばかりやるものと思われがちですが、「犬と一緒に生活することを理解する」ことは非常に重要なことです。

・フォローアップ及びアフターケア

施設での一通りの訓練が終了した後に、ユーザーの自宅周辺などの現地訓練での訓練を行います(フォローアップ)。ここではユーザーが日常的に利用するスーパー、銀行、病院などへの移動経路や、交通機関の利用などの訓練を行います。この訓練が終了した段階で初めて正式な「盲導犬ユーザーと盲導犬」が誕生することになり、二人三脚の生活が始まります。
誕生したてのこのペアは人間も犬も「初心者マーク」です。失敗もしますし、知らずに周りに迷惑をかけてしまうこともあるかも知れません。盲導犬は持ったその日から自動的に動く機械ではありませんし、何でも解り、どんなことにも耐えるスーパードッグでもありません。盲導犬との歩行は、ユーザーと一緒に生活し歩くことによって、問題を解決し、理解を深め、徐々にお互いの信頼関係が築かれ、安定していきます。
ユーザーには訓練終了後1年間、毎月定期的に歩行状況や生活状況についてレポートを提出してもらっていますが、その他問題が生じた時にはユーザーから連絡をもらい、電話により必要なアドバイスも行います。必要があれば再度現地へ行き、必要な対策を講じ訓練を行なったりする場合もあります。
また、極力定期的にユーザー宅を訪問し、チェックするように心がけています。

・引退

ラブラドールやゴールデンといった中型犬の寿命は14歳前後です。盲導犬がユーザーと一緒に生活するようになるのは2歳前後からですが、盲導犬として役割を果たせるのは個体差はあるものの健康な犬でも12歳が限界と考えています。犬も年齢を重ねると足腰が弱くなり、疲れやすくなります。白内障が出たり、耳が遠くなるということもあります。早ければ9歳から10歳程度で引退しなければならない犬もいます。
盲導犬の最大の役割は安全な歩行を提供することですが、それが出来なくなったら引退せざるを得ません。ユーザーにとってもまた盲導犬にとっても「別れ」はつらいものですが、比較的元気な内に引退犬と一緒に生活することを望んでいるボランティアの家庭に引き取られることが望ましいと考えています。
一方ユーザーは、盲導犬と一緒に歩くことに慣れ親しんできているので、新たな盲導犬を取得するために再度共同訓練を受けることになります。

(日本ライトハウス盲導犬訓練所資料より)


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